沖縄と言えば、綺麗な海、豊かな自然、輝く太陽、美味しい食べ物・・・ 。
訪れる人を惹きつける「楽園の島」ですが、それとは真逆にとても悲惨な歴史を持っている事は、多くの方がご存じだと思います。
そんな歴史を肌で感じることができる場所「沖縄平和記念公園」は、 那覇空港から約40分ほど。
沖縄本島南部、糸満市にあります。
国内外の観光客や慰霊団、修学旅行生などが多く訪れ、観光の要所ともなっています。
しかし
「せっかくバカンスで沖縄来たのに重たいイメージだから行きにくい」
「軽々しく観光で行ってもいいの?」
という声もあるようです。
ここは慰霊で訪れる人ももちろん多いですが、実は広い芝生があったり、子供が遊べる遊具がすごく充実しているゾーンもあり、休日は多くの家族連れで賑わっているんです。
今回は気になるけど気軽に行けない気がする「沖縄平和記念公園」をご紹介します!
記事を読んで「行ってみようかな」と思っていただけると嬉しいです^^
目次
「沖縄平和記念公園」はどんなところなの?
太平洋戦争の末期に起こった沖縄戦(沖縄に上陸したアメリカ、イギリス軍などの連合国軍と日本軍との戦い)は、二十数万の人命が奪われ、そのうちの約半数が一般住民だったという、日本の歴史上他に類を見ない悲惨な戦争でした。この公園は、戦火に追い詰められた人々が最後にたどり着いた場所です。
逃げ場もなく、捕虜になることも許されず、ここでもたくさんの命が失われました。
戦没者を追悼し、平和を祈り、戦争の歴史を語り継いでいくために、約40ヘクタールの広大な平和祈念公園は整備されました。今では年間約100万人が平和記念公園に訪れています。
戦争の歴史だけの公園ではない
観光客の多くの方が、この公園に子供が遊べる広場や、芝生広場があって賑やかなことを知らないようです。
後にご紹介しますが、同じ敷地内に巨大遊具や屋根付き休憩所などがあって、子連れ家族にはとても人気な場所なんです!
さらに2017年7月には「命の卵」という、新巨大遊具が増設されて、さらに スケールアップ!
今、地元の方の注目度が高い公園になっています。
なぜこのような施設が隣接して作られているのか。
戦争で亡くなられた多くの方々が見たかった、賑やかな明るく平和な沖縄の姿。
多くの人が集まる賑やかで平和な沖縄にしたいという沖縄の想いなのではないでしょうか。
参拝するエリアからは離れてはいますが、すぐ隣のエリアで連日子供たちの元気な声が響き渡っている公園内。
きっと戦争で亡くなられた方々も見ていてくれていると思います。
公園内は4つのエリアがあります
の、4つにわかれていて、観光客の多くが「平和ゾーン」と「平和式典ゾーン」に訪れるようです。
各ゾーンの是非見て頂きたいところをご紹介しますね^^
平和ゾーン
多くの方が訪れる「沖縄県平和祈念資料館」があります。
沖縄戦での壮絶な戦いの記録が生々しく展示されていますが、是非見てほしい資料館です。
たしかに目を覆いたくなるような資料もありますが、教科書では学べない、沖縄戦の実態や戦後の沖縄の苦難を知ることができます。
戦争はなんと愚かで非人道的ものか・・・。
資料館は、戦争の記録だけではなく、周囲を見渡すことが出来るの展望所もあります。
平和式典ゾーン
「平和の礎(いしじ)」や「平和の火が」あるエリアです。
こちらも資料館と合わせて是非見てほしいエリアです。平和の礎とは、太平洋戦争、沖縄戦で亡くなられた約24万人の名前が刻まれた石碑で、国籍や軍人、民間人の区別なく綴られています。
また、平和の礎のメインとなる園路は、その中心線が6月23日の、日の出の方角に合わせて設けられています。6月23日というのは、沖縄戦の組織的戦闘が終結した日( 日本軍のトップであった牛島司令官が自決した日)です。
沖縄では毎年6月23日は「慰霊の日」としていて、県の休日になっています。
なぜ「沖縄戦の組織的戦闘が終結」という表現をするかというと、司令官の自決後も自決を知らない軍人たちが戦いを続けたので、戦争自体の終結ではないからです。
ここには慰霊の日以外にも多くの人が訪れ、戦争で亡くなった人に思いを馳せています。
ちなみに、米軍が沖縄戦の終結を宣言したのは7月2日、日本軍が全面降伏したのは9月7日となっています。
海側にある平和の火は、 米軍が沖縄戦で最初に上陸した座間味村の阿嘉島(あかじま)の火と、原爆が投下された広島市の「平和の灯」、長崎市の「誓いの火」の3か所の火を合わせたものです。
平和の火からの海は見晴らしが良く、海もキラキラと輝いています。
沖縄戦時はこのきれいな海から米軍の艦砲射撃を受けました。
この海を見ていて、かつてここでそんな出来事があったとはとても想像し難いです。
霊域ゾーン
公園の南側にあり、最も戦争や死を連想させるゾーンです。
こちらには「摩文仁の丘(まぶにのおか)」や「黎明の塔(れいめいのとう)」「沖縄師範健児の塔」などがあります。
「摩文仁の丘(まぶにのおか)」には、様々な県や団体が、慰霊塔や慰霊碑を建立しています。
このゾーンの奥(しずたまの碑や樺太の碑方面)には、日本軍のトップであった牛島満中将と長勇参謀長を祭る「黎明の塔(れいめいのとう)」があります。
黎明の塔の近くの階段を下って行くと、途中に第32軍司令部壕跡があります。
ここは牛島満中将と長勇参謀長が自決したとされる壕です。
第32軍司令部壕からさらに階段を下っていくと、「沖縄師範健児の塔」があります。
「師範健児」とは、第32軍司令部の直属部隊である師範学校の生徒のことです。
まだ中学生くらいの年齢の子供たちもいました。
食糧輸送や伝令等として使われ、最後には大人と同じ戦闘に加わらなければならなかった事実、胸が締め付けられます。
この塔の裏手では、戦争の終結頃に多くの学生が自決したそうです。
塔から階段を降りきった所には「沖縄師範健児隊の壕」もあります。
私は胸が苦しくなり、長い時間その場にいることができずに、手を合わせて祈り、すぐに引き返しました。私は沖縄が大好きなので、楽園の島としてだけでなく、辛い過去もある沖縄も知っておきたいと思い、こちらのエリアにも行きました。
戦争があった時代からずいぶん時間が経ち、戦争の悲劇を知らない人が自分も含め増えています。
このエリアはさすがに辛いですが、絶対忘れてはいけない事実であり、この事実は見て体感して知っておくべきだと思いました。
園路広場ゾーン
公園の北側にあり、こちら側は未来や平和、希望を連想させるゾーンになっています。
このゾーンでは戦争を思わせるものはありません。
沖縄で最大のマラソン大会「NAHAマラソン」の中間地点になっているほか、未来への希望が表現されている「子供の広場」や「多目的レクリエーション広場」、自然観察などができる「ピ クニック林間広場」、野外コンサート等にも利用される「多目的テラス広場」があります。
特にこの巨大遊具がある広場、連日家族連れに大人気!
よちよち歩きの乳児から小学校高学年くらいまでが楽しく遊べる遊具がたくさんあり、他ではあまり見ない珍しい遊具がいっぱいです。
めちゃめちゃ楽しいようなので、子連れの方には是非おすすめですよ!
かつては激戦区だったこの場所は、全身を思い切り使って遊べる場所になり、今は子どもたちが笑顔で走り回れる憩いの場となっているんですね。
園内バスを利用しよう
公園内は1人100円で1日乗り放題の園内バス(カート)が走っています。
園内7箇所にバス停がありますが、停留所以外でも乗り降り可能です。
平和祈念公園はとても広いので、すべてのエリアを周るなら園内バスが便利です。
沖縄平和記念公園の詳細情報
平和祈念公園
入園料:無料
ベビーカー、車イスの無料貸し出しあり
沖縄県平和祈念資料館
入館料:無料 ※常設展示室のみ有料 (大人300円 小人150円)
開館時間:9:00~17:00
休館日:12月29日~1月3日
TEL:098-997-3844
沖縄県平和祈念財団HP
http://heiwa-irei-okinawa.jp/
HPから園内マップやイベントの情報などが見られます。
6月23日は「慰霊の日」
沖縄は毎年、6月23日は慰霊の日としていて、県内は公休となります。
慰霊の日には、戦没者の霊を慰めて世界の恒久平和を誓う「沖縄全戦没者追悼式」が開催されます。
また、当日と前日にはサーチライトを戦没者の霊の標柱に見立てて天空に照射する「平和の光の柱」が点灯され、5つの青い光が空へと伸びる光景は神秘的です。
その他にも、とうろう流しやペットボトルキャンドルなどが設置点灯され、未来へ向けて恒久平和を発信するイベントを行います。
また、この日は平和記念資料館の常設展示室が無料になります。
まとめ
戦争があった時代からずいぶん時間も経ち、戦争体験者はどんどん減っていきます。
また沖縄戦の悲劇を知らない世代が増え続ける今後、平和な時代に生まれた私たちは、この平和を保ち続けるために何ができるんでしょう。
それは、一人ひとりが戦争の怖さを知る努力をし、平和な時代に生まれた幸せを、大いに楽しみ喜び合うことなんだと思います。
沖縄を訪れるのは、ほとんどの方がリゾートを満喫するのが目的ですが、 そんな中のひと時でも沖縄の過去に目を向け、空を見上げてみてください。
「楽園の島としての沖縄」だけでなく、是非「辛い過去のある沖縄」も知ったうえで、観光も思い切り楽しんでくださいね!
[…] 画像:さおなの毎日が沖縄より […]